暖かくなり、野山に行くと色々な生き物が活動し始める時期になってきた。
血を吸う生き物は色々いるが、マダニに噛まれたのは初めてだったので備忘録として残しておきたい。
初めに、この記事を書くにあたって、その部分をどう表すか腐心した。
局部といっても、今回は「袋」部分のことであり、色々な言い方はあるが、ここでは報道等で使われる「局部」という表現を使うことにした。
つまり、ここで言う「局部」は袋部分であると想像して欲しい。
さて。表題の件である。結論から言うと大事には至らなかったが、順を追って説明したい。
ことの発端は、4/10〜11の土日の豊田でのクライミングである。
僕はこの時、2本の5.11台を登るなど、非常に調子良く体が動いた。そして、なんの違和感を感じる事もなく、週末を終え月曜から出勤したのであった。週末に成果も出て、実に良い週の幕開けであった。
しかし既にこの頃、僕の局部ではマダニが皮膚を噛み切り、頭を突っ込んで吸血を始めていたのだった。
こう書くとおぞましいが、マダニは吸血を行う際に、ヤマビルと同じように麻酔物質を使ってその行為を悟られないようにしているらしく、僕自身は全く気づかなかった。
それにしてもヤマビルといいマダニといい、要らない配慮だよな、まったく。
異変を感じたのは月曜の昼くらいだったと思う。
局部にちょっとした痛みを感じる。例えるなら吹き出物ができたような痛みだ。
ただ、職場にいたので簡単には確認できないし、元々僕は肌が弱く吹き出物等ができやすいタチなので、全然気にしていなかった。
結局ここから僕は四日間も放置し続けることになる。つまり、痛みを感じながらも、風呂に入ってもトイレに行っても、目視すらしなかったワケだ。
その事を何人かの人に話したが、皆口を揃えて信じられないと言うのだった。肌トラブルが多い僕にとっては、しょっちゅう出来る吹き出物をいちいち全部確認するような習慣は無かったのだ。
しかし、木曜日(4/15)の午後、会社でトイレに入った僕は急にその痛みが気になり始めたのだった。別に痛みがひどくなったとかじゃないのだが、虫の知らせだったのかもしれない。いや、実際たしかに虫だったのだが。
会社のトイレの個室で局部の棒部分を持ち上げた僕は、袋部分の裏を目視した。
すると、今まで見た事のない白っぽいカサブタのようなもの(この時はこう思った)ができていた。大きさは5mm程度だろうか。
ぱっと見取れそうに見えたので、引っ張ってみると痛い。この頃になると、皮膚に頭を突っ込んだマダニはセメント様物質で周辺を固め、皮膚から頭が離れないようにしているらしい。これまた、おぞまし情報だ。そんなに僕の局部が良かったのか?お前にモテても仕方ないんだよ。
話を戻そう。その時はまだカサブタだと思っている僕は、なおも引っ張る。しかし引っ張りながら、ふと僕は思った。これってもしかして…?豊田でクライミングをしたことや、以前豊田でマダニに噛まれた知人の話などが頭をよぎる。ようやく「これはマダニかもしれない」という考えに至った瞬間、チクリとした痛みともにプチっという音を立てて「それ」が外れた。
手に取ったそれをひっくり返すと、複数の脚が動いている。やってしまった…
そう、噛まれて数日経過したマダニは、頭が皮膚に残る可能性があるため、自分で取らず、医療機関で処置してもらうべきなのだ。これだけは知っていた。
それにしても元気なダニである。置くと普通に歩いてやがる。
↑僕の局部を襲ったマダニ
とりあえず、このマダニが他人に悪さをしてはいけないと考えた僕は、職場の駐車場で石を使ってマダニを擦り潰して殺害した。
後で妻に調べてもらってわかったのだが、感染症にかかった時に調べるために、血を吸ったマダニはフィルムケースなどに入れて保管するべきなのだそうだ。ぜひ覚えておいて欲しい。
ただ、一つツッコませていただきたいのだが、今の時代フィルムケースなんてどこにあるの?
それにしてもなんでこのマダニは局部にいたのだろうか?
当然岩場で局部を露出して過ごしていたわけでは無い。女子も居たし。そもそも男だけだったとしてもそんなことしない。
調べたところ、マダニは柔らかい皮膚を狙って噛むそうだ。つまり、推測だが足かなんかについたマダニが、僕の体を登って柔らかい局部にたどり着いて噛んだ。多分そんなところだろう。
とりあえずそれ以降は普通に過ごしていたのだが、とにかくその場所が痛い。目視してもどうにもなっていないのだが、触ると痛い。特にその場所をつまむと激痛が走る。
病院に行くべきことはわかっていた。だが、想像して欲しい。特に男性諸君。仮にマダニの頭が局部に残っていたとして、その処置のために局部を切開することになったら…
そう思うと全く病院に行く気になれなかったのだ。
しかし、噛まれてから二週間弱経過するというのに、全く痛みが引く気配がない。さすがにこれはまずいだろうと思い、覚悟を決めて病院に向かうことにしたのだった。
病院に行くにあたって、妻が近所の皮膚科の名医を教えてくれた。とりあえず女医でない事を確認する。「おじさんの先生だよ。めっちゃいい人」とのこと。
それは良かった。何年も前、痔の手術をした際に、妙齢の女性看護師に肛門の剃毛をされた屈辱は今なお忘れる事はできない。
病院に向かい、名前を呼ばれ診察室に入る。
状況を伝え、先程のダニの写真を先生に見せる。「この写真だけだと、頭がとれているかどうかなんとも言えないですねえ。裏の写真は無いの?」
これは、その数日前に生き物に詳しいwakiさんに写真を見せた時にも言われた事だ。残念ながら裏の写真は撮っていなかった。血を吸ったダニの写真を撮るなら、裏側も撮っておくべき。これも覚えておいて欲しい。
とりあえず患部を確認するとのことで、ベッドに寝かされ、局部をさらす。
先生は拡大鏡のような物をつかって、熱心に見てくれたが、ダニの頭が残っているかどうかはわからなかった。
結局先生の結論としては、化膿もしていないしとりあえずは大丈夫。あとは感染症だけが心配。潜伏期間は長くて一か月程度だから、それまでは注意しておく事。との事だった。
文章だけでは伝わりにくいが本当にいい先生だった。
結局それから一か月以上経過して今に至るわけだ。
感染症にかかった様子はないが、実はまだその場所は痛い。ただし、以前より痛みはかなり和らいだ。まあ、多分もう大丈夫だろう…
このまま痛みが自然と消える事を切に願っている。
後日談だが、僕がマダニに噛まれた数週間後に妻も背中をマダニに噛まれていた。
当日中取ることができたので、しばらくは赤くなっていたが、今は大丈夫らしい。
偶然かもしれないが、今年はマダニが多いのかもしれない。
皆さんもぜひ気をつけて欲しい。