東海地方在住の方であれば、カラフルで味わい深い表情のコンクリート像が思い浮かぶ方も少なくないかも知れない。そう、あの個性的な像を作った方が、浅野祥雲である。
一部では関ケ原の関ケ原ウォーランド、犬山の桃太郎神社、そして日進の五色園が「祥雲三大聖地」などと呼ばれているらしい。
浅野祥雲は既に40年以上も前に亡くなった人物ではあるが、その作品のインパクトは令和の世の中においても完全に異彩を放っている。
僕が初めて関ケ原ウォーランドを訪れて浅野作品を知った際、その衝撃が忘れられずブログ記事を書いたのだが、遡ってみるとそれは2012年の事で、すでに10年近くの歳月が経っていた。ついこの間のように感じていたのだが、恐ろしい事だ。
↑文章のテンションも違う。時の流れを感じる。
今回は三大聖地の一つ、五色園を訪れたので、簡単に紹介しておこうと思う。
Wikipediaや公式HPによると、五色園は日本で唯一の宗教公園として昭和初期に開園した施設なのだそうだ。20万坪という広大な土地の中には墓地やお寺、宿坊などがあるのだが、やはり五色園を五色園たらしめているのは、園内に点在する浅野祥雲の作品群であろう。
五色園ではコンクリート像の展示を使って、浄土真宗の宗祖、親鸞の生涯が紹介されているのだ。
では、その一部(僕が見つけたものだけ)を紹介していこう。
↑これは親鸞が29歳の時に六角堂というお寺に通いまくっていた際に、弟子?がこっそり後をつけていたというシーンである。
左にいるのが多分弟子、右奥が多分親鸞なのだと思う。弟子は道の険しさに驚いているようだが、ここでは実際にその道の険しさまで再現されており、親鸞の像は草ボーボーの崖みたいなところに設置されていた。そのせいで親鸞の像を正面から見るのはほぼ不可能な状態になっており、なんだかもったいない気がした。
↑驚く弟子
次なる像を求めて坂道を降ると…
こんな像が。
早速どんな話だったか忘れてしまったのだが、仏教嫌いのDQN野郎が、信心深い妻にムカついて殺してしまったものの、その妻は親鸞にもらったお札?が身代わりになったおかげで死なずに済んだという場面だったと思う。その後その男は改心したというのだが、、改心したくらいで済む問題だろうか。妻が死ななかったのは結果論であって、やっぱり殺そうとするのはイカンやろ。今なら殺人未遂で逮捕だ。
さらに歩くとこのような場面が。
これは、親鸞のエピソードとして結構有名な場面らしい。僕は教養が無いので当然知らなかったのだが…
親鸞が法然の下で学んでいた頃、親鸞が「本当に大事なのは念仏を唱えることか?それとも信じる事か?それぞれ別れて座れ」と法然の弟子たちに問いかけたところ、ほとんどの人は「念仏を唱える方」に座ったが、親鸞と遅れて来た人(右の方に写ってる走ってる人)は「信じる方」へ座った。すると法然が「信じる方が正解!」と言ったので、大多数の弟子が「マジかよ」となっている場面らしい。
法然といえば浄土宗。確か中学の歴史の授業で、浄土宗は念仏を唱えるだけで救われると教わった気がするけどなあ。僕も、頭の中では信じる方が大事だと思いつつも、「法然さんの教えだし、どうせ念仏の方やろ」とか思って念仏の方に座りそうだ。仏教の教えとは難しきものよ。
ちなみにわかりにくいかも知れないが、右から走ってきてる人の走り方はナンバ走り(右足が前に出る時に、右手も前にでる走り方)である。
これを見て、関ケ原ウォーランドにもナンバ走りの人がいた事を思い出した↓
浅野作品の特徴なのか、それとも昔の人の身体の動きを忠実に再現しているのか。どうなのだろう。(江戸時代以前の日本人はナンバ歩きをしていたと考えられているそうである)
では、次行きましょう。
すみません……どんな内容だったか忘れてしまった。とりあえず田植えか何かをしているのだと思う。
この近くには草木に埋もれつつある不動明王もあった。埋もれつつあるとは言え、色はしっかり塗り直されており、手入れはちゃんとされている事がうかがえる。
冷静に考えると、これはコンクリートで作られた仏像である。金属や木、石で作られた仏像はあっても、コンクリート製はなかなか無いのではなかろうか。
さらに道が続いていたので、進んでみる。
↑道はどんどん悪くなる。この先も何かあるのだろうか…?
↓あった!
こちらこそ本当に草に埋もれつつあるが、大丈夫なのだろうか。ここまでの道もまあまあ怪しかった。
さらに踏み跡が続いているので進んでみるが…
もうやばいでしょ。ちょっとした藪漕ぎ状態。さながら六角堂へ百日間参籠した親鸞聖人のようだ。
奥の方からは大量のニワトリ?の鳴き声と思われる音が聞こえてきている。この先に何があるのだろう。
わぁ、もう無理だぁ。
ジオグラフィカで地形図を確認するとまだ道は続いているのだが…
地形図を見る限りニワトリの声は、川を挟んだ反対岸の農業試験場から聞こえてきているようだ。なんだ、五色園は関係なかったか。
荒れた道に耐えきれず、森を抜ける方向の踏み跡を辿ると
墓地に到着。天気が良いからか、墓参りの人が多く来られており、普通の霊園といった雰囲気である。
とまあこんな感じで、最後はちょっとした登山になってしまった。
本当はもっとたくさんのコンクリート像があり、その数100体以上と言われているそうだが、全て探していたら本当に一日中歩き続けることになるだろう。
入場料のようなものもかからないので、ぜひ一度訪れてみてほしい。
↑ルート図
メンバー:妻、僕
愛知県日進市岩藤町一ノ廻間932番地31
TEL(0561)72-0006
開園時間 8:00〜17:00
入場料 無料