金曜夜が飲み会だったため、前夜発が出来ない週末。
今シーズンはナメ沢をテーマに活動すると公言している妻と二人での山行だ。
近場、泊まり、沢、天気予報との兼ね合いを考えた時に最終的に出た答えが白山周辺だった。
その中でも石徹白川の初河谷は上部に美しいナメ床があるらしい。ここなら妻のテーマにも沿う。
計画としては、初河谷を遡行し、1400m付近のナメ床を鑑賞した後、初河山の尾根を越えて倉谷に降り、そのまま倉谷を下降するというものとした。
出発地点は初河谷出合の駐車場。妙に傾斜がついているが、しっかりと舗装されて、駐車位置の線まで引かれた立派な駐車場だ。
ここを10時過ぎに出発。最初は荒れた遊歩道を歩くが、途中で不明瞭になり、適当な箇所から入渓した。
初河谷のポイントとなる滝は6本。それ以外は基本河原歩きかゴーロ歩きかナメだ。
しかも全ての滝の場所がわかりやすい。
一本目は地形図上の1個目の滝記号の付いている八反滝だ。
この滝はこの沢の最初にして最大の滝であり、核心でもある。
直登はどう見ても無理で、高巻きとなる。記録では右岸巻き、左岸巻きどちらもあるが、僕らは登山体系に従って左岸巻きとした。
滝の近くは登れそうなところが無く、かなり下流まで戻る。滝の姿も見えなくなったところで左岸側に尾根が出てくるので、そこから巻いた。この巻きに1時間半。。記録によっては2時間越えの人もいた…序盤でこれはなかなかキツい。
2本目は地形図上の2個目の滝記号の場所である。
これも残念ながら高巻きとなる。登山体系には左岸の壁を登るとあるが、かなり厳しそうだ。登れなくはなさそうだが、荷物を背負って気軽に取り付けるようなシロモノでは無いだろう。
ただし、ここも滝の近くは両岸とも岩壁が迫っており、それなりに戻ったところからの右岸巻きとなる。巻きの取り付きでロープを出した。
3本目も滝記号が付いている滝で右岸草付からの巻きとなる。前の2つに比べると楽に巻けるが、前の2つより藪が濃い。
3本目の滝が終わって少し進んだあたりの河原で幕営した。あまり高さは無いので雨が降ると良くないが、広い河原は快適ではあった。
妻と二人だけで沢に泊まることは初めてだが、普段一緒に生活しているせいか、段取りなどが早い。そもそも妻は山の準備などは早い方だと思う。朝もすぐに準備が終わった。
二日目は5:50頃に出発。
4本目の滝は最後の滝記号の付いている場所だ。水流の左から直登できる。
5本目は1320m付近の二俣の直前にかかる。
水流の左側を登ろうと思ったら上部がスラブ状で無理。ならばその左の草付きの壁かと思ったけど、これも悪い。
一旦降りて、水流右側の様子を見に行ったら登れそうだったので、そこから登った。
この滝の上から素晴らしいナメ地帯が始まる。登山体系に300mのナメと書いてあるところだろう。ここは本当に素晴らしい。
これが終わると1400m付近に6本目の滝が現れる。
これは右岸側の小さいガリーを登って適当なところでトラバース。トラバースの途中で支流があるのだが、この支流を登って初河山の尾根を越えることになる。しかしここは一旦滝を越えて初河谷に戻る。この滝の上にも見ておきたいポイントがあるのだ。
沢に降りたところで荷物をおいて上流を目指す。少し行くとすぐに緑色の苔で覆われたナメ地帯となる。先程のナメほどではないが、こちらも見るべきところだ。
適当なところで切り上げて元来た沢を戻って先程の支流から尾根越えにかかる。
登りは120mほど。水流があるうちはただ登るだけ。終盤は藪漕ぎとなるが長くはない。稜線に出たら反対側の沢に降りるが、ここも少し藪漕ぎをすれば降りられる。
倉谷下降はただただ単調な河原歩きだ。
途中滝や堰堤が出てくるが、基本巻き降りることができる。懸垂下降はやらなかった。
ただ、長くて疲れる。
地形図上で右岸側に林道記号が現れるあたりには、確かに林道の跡があり、そこを歩いくことができた。
最後は車道に出て、1.5km程の車道歩きで駐車場に戻る。
序盤は2本の大物高巻きで沢の辛さを充分に味わえる。上部は明るい渓相に心を洗われる。
渋い沢ではあるが、上部のナメは一見の価値ありだろう。