続 イボGの山

何者にも成れずただ登るのみ

ベトナム カットバ島クライミング Cát Bà Island 20231231-20240101 その② 〜謎のクルージング編〜

※今回の記事にもクライミング情報はほとんどありません。

 

2023/12/30

雨音で目が覚めた。カーテンを開けずともその雨脚の強さを感じる。

 

昨夜バスを降りたあと、少し歩いてCat Ba Wonder Hotelに到着した。このホテル、安いのに予約サイトの写真がものすごく綺麗なので嘘っぽかったのだが、実際に来てみるとまさに写真の通りという、逆サプライズホテルだった。

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とりあえずお腹が空いたので、ホテルの近くのレストランで牡蠣やらフォーなんかを食べてホテルに戻る。

 

例によってフロントのスタッフは非常に親切で「明日、ハロン湾ツアーに行きたい」と伝えると、手際よく手配してくれた。

ツアーは17時までとのことだったが「少し長いなあ」なんて言ってると、じゃあ15時まででどうだろうか?とのこと。そんなことできるの?と思いながらもその条件で合意した。

 

それが昨夜のことだった。で、朝目覚めるとこの大雨だ。

 

とりあえず朝食を食べてロビーへ向かう。フロントのスタッフが気の毒そうに声をかけてくれる。「明日に延期する?」「いや明日は用事があるんだ」「そうか、なら上着を持って行った方が良い。寒いからね」「ありがとう、持ってるよ」

そんなやりとりをしていると、迎えの車が到着した。雨に濡れながら小走りで車に乗り込むと、スタッフと運転手の他にすでに欧米人の男女3人組が乗っており、すし詰め状態だ。しかし、港にはものの数分で着いてしまった。

 

港ではQRコードが描かれた紙を渡され、ゲートでそれを読み込んで船に乗り込む。おそらく入場チケットのような物なのだと思う。

50人ほど乗れそうな船に先程の欧米人グループに加え、ベトナム人の親子4人と我々のたった9人のツアーだ。

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↑「99」の船に乗れと言われた。

出航すると若いガイドの男性が英語で話し始める。例によってほとんどわからない。これからどこに行くのだろう。

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↑美しい船内

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↑雨は止んだが、どんよりとしている
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↑日本ならローソク岩とでも名前が付きそう
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↑女性の横顔に似た岩だと紹介された。確かに!

 

ガイドのお兄さん曰く、ここはハロン湾ではなくランハ湾なのだそうだ。山の向こうがハロン湾だとか言われたが、その境目はよくわからなかった。とりあえずこれはハロン湾ツアーではなく、ハロン湾が見えるランハ湾ツアーだったのだ。まあどちらでもいい。

 

しばらくして船はカヤック乗り場のようなところに到着した。ここで本来ならカヤックに乗れるそうだが、そのためには水着を持ってないといけないらしい。もちろん持っていないので、代わりにタクシーボートに乗ることに。

結局カヤックに乗ったのはベトナム人のお父さんと上の子供だけで、残りのみんなで仲良くタクシーボートに乗った。

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↑これがタクシーボート
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タクシーボートの船頭さんはまたも女性だった。ベトナムは女性が船を漕ぐ事が多いのだろうか。

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↑洞窟をくぐったりする。タムコックのボートと似ている。

 

船の上ではベトナム人のお母さんが大活躍だった。船頭さんとももちろんベトナム語でコミュニケーションが取れるし、我々や欧米人グループにも積極的に話してくれる。おそらく我々とそこまで歳は変わらないと思うし、別に英語が得意なわけではないようだが、色々な話をしてくれる。これが本当のコミュ力なのだ。コミュ力があれば語学力など二の次で良い。一見矛盾しているようだが、それをひしひしと感じた。ちなみにスズキの車に乗っているそうだ。

 

ボートでのツアーが終わると、今度はランチだ。

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ランチのメニューは見ての通りだ。とにかく多い。我々は欧米人のグループと同じテーブルを囲んだのだが、彼らはビーガンらしく、結果的に我々に割り当てられるものがさらに増えてくる。印象的だったのは、彼らがご飯に醤油をかけて食べていた事だ。日本だったらお母さんに怒られそうだが、本当にうまい食べ方は万国共通らしい。

※さっきから欧米人と書いているが、結局どこの国の人なのかはわからなかった。とりあえず英語ではない言葉を話しているのだけはわかったのだが…

ランチが終わると昼寝の時間だった。この休憩、何がすごいって乗客だけでなく、スタッフも錨を下ろして全員寝ている事だ。なんて平和な時間なんだろう。心地よい海の揺れが眠りに誘う。。

昼寝の時間は小一時間ほどだっただろうか。さてそろそろ行きますかという具合で、船が動き出す。次に到着したのは、これまたよくわからない小さな港だった。ここでまたガイドの兄さんに「船の中で寝てるか、出かけるか」と言われる。さっきまで寝てたのにまだ寝させてくれるのかと思ったが、せっかくなので船を降りることに。

船を降りると昨日タムコックで乗ったのと同じようなエレキカーに乗せられる。エレキカーでのミステリーツアーはもう慣れたもんだ。

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↑エレキカーがたくさん

 

エレキカーに乗せられて着いたのは小さな村だった。最初に足湯のような施設に連れてこられたのだが、これはなんだろう。フィッシュマッサージと言われたけど…と思い覗き込むとなんのことはないドクターフィッシュだった。ただ、一匹一匹がデカい。恐る恐る足を突っ込んでみるが、やはり日本でやったことがあるものよりパワーを感じる。しばらくやっていたがなんだか怖くなってきて、適当なところでやめておいた。

これが終わると後は集合時間まで自由行動だった。無料貸し出しの自転車にほぼ強制的に乗せられて、さあ散策してこいとのこと。しかしこの村、本当に特に何もない村で、10分も走ればほぼ全部を回る事ができた。

途中、例のベトナム人のお母さんとすれ違うと、ハイテンションで手を振ってくれた。本当にコミュ力がすごい。

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結局一体ここはなんだったのだろうか。

集合時間になり、エレキカーに乗って港に戻って船に乗ると、最初の港に向かっているようだ。時計を見ると確かに15時近い。港に着くと我々だけが降ろされた。なんと、我々の都合に合わせてわざわざ港に寄ってくれたらしい。残りのメンバーはこれからサンセットを見に行くようだ。

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↑ありがとう99号。

ガイドのお兄さんに、あそこに見えるヒュンダイに乗ってくれと言われたので、お礼を言って乗り込むと、スムーズにホテルまで送迎してくれた。

 

さて、我々が少し早めに帰ったのは、町の偵察をしておきたかったからだ。今日の夕方にはkjさんとhrちゃんが合流する予定だ。それまでにある程度町のことを知っておきたい。

日本人でカットバ島のことを知っている人は少ないと思う。地球の歩き方でも少し触れられている程度で、謎の多い島だ。しかし、来てみるとなかなかのリゾート地である。ホテルや飲食店の立ち並ぶ街はまさに観光地。遊びに来ているのはほとんどが欧米系の人かベトナム人たちで、日本人や韓国人、中国人のような東洋系の観光客はほとんど見かけなかった。今はオフシーズンなので、そこまでの混雑は感じなかったが、シーズン中はかなり賑わうのだろう。

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↑カッコ良いカスタムのカブを発見

 

イギリスから取り寄せたベトナムのクライミングトポによると、カットバ島でクライミングをするには、Langur's Adventuresという店でパスを発行してもらわなければならないらしいのだが、この店がとにかく見つからない。

この辺だろうという目星はつくのだが、全然見つからず、その店の近くと思われるカフェで食事をして店員に聞いてみるもののわからないとのこと。(結局、後日クライミング後に偶然発見。ちゃんとありました。)

もう仕方ないので、Langur's Adventures探しは諦めて岩場の偵察に切り替えることに。

カットバ島での移動はレンタルバイクが一般的だ。法的なところは正直グレーな気もするが、街中にはいたるところにレンタルバイク屋が軒を連ねている。

適当なバイク屋に入り、細身のおっちゃんに1時間だけ貸してほしいと声をかけると、自転車でも貸すかのような気軽さで貸してくれた。10万ドン。多分割高なのだろうが大した金額でもないのでまあいいだろう。

妻と二人乗りをして走り出す。右側通行は台湾で経験済みだが、やはり慣れない。おっかなびっくり走りながら、とりあえず向かってみたのは岩場の一つ、Hidden valleyである。Googleマップを見ながら、街中の路地のようなところを走ると突然だだっ広い広場のようなところで行き止まる。結局この岩場では登らなかったのだが、おそらくここから歩いてアプローチするのだろう。その後も、適当に街や海を見ながらツーリングを楽しんでいると、kjさんhrちゃんから到着の知らせが届いたので、急いで宿に戻って合流。

とりあえず、昨日も訪れたレストランYummy2に向かい、再会を祝してビールで乾杯した。

ちなみにカットバ島は一応リゾート地なので、食事はそれなりに高いところが多いのだが、このYummy2(すぐ近くにYummy1もある)は非常に良心的な値段設定だった。我々の宿から歩いてすぐということもあって、滞在中はよく利用させてもらった。

 

食事の後、ホテルのフロントでhrちゃんが翌日からのバイクのレンタルのことを聞いてみると、例によって快く手配してくれた。本当に素晴らしいホテルだ。

 

ついに明日からは待ちに待ったクライミングだ。気づけば早朝の大雨が嘘のように路面が渇いている。良い大晦日になりそうな予感を感じながら眠りについたのだった。

 

続く