続 イボGの山

何者にも成れずただ登るのみ

ベトナム カットバ島クライミング Cát Bà Island 20231231-20240101 その① 〜ニンビンそしてカットバ島へ〜

年末年始の休暇でベトナムを訪れた。実に約5年ぶりの異国の地だ。

 

安くて美味しい料理やビール、親切な人々、豊かな自然と都会の雑踏。約一週間。本当に素晴らしい旅だった。

 

今回はハロン湾のカットバ島でのクライミングについてだけでなく、日記ついでにベトナム旅行についての情報もお伝えできればと思う。

 

※今回の記事はカットバ島に向かうまでの日記なので、クライミング情報はありません。

 

2023/12/28

妻と僕を乗せたベトナム航空VN347便は予定通りの時刻にセントレアを出発した。

ノイバイ空港に着いたのは現地時間の13時過ぎ。暑い。ベトナム北部はそれなりに寒いとの情報だったがどういうことか。確かに現地の人はダウンのようなものを着込んでいるが、僕らの感覚だと半袖でも良い。

今回は現地でのスマホのデータ通信のために、eSIMなるものを使ってみた。QRコードを読み込んで設定するだけで、物理的なSIMカードを入れ替えることなく現地の回線に繋ぐことができるサービスだ。僕の設定は日本でできたのだが、妻の設定がうまくいってなかったので、イミグレーション前に再度トライしてみたところ無事開通。日本でできなくても現地でうまく行くこともあるらしい。

Amazon等で色々なeSIMが売られているので、是非利用してみてほしい。かなり便利だった。教えてくれたAさんには感謝しかない。

 

ベトナムの入国審査では帰りの航空券のeチケットの提示が必須という情報を飛行機の中で「地球の歩き方」を読んでいて知って焦ったのだが、結局僕らは何も言われなかった。ただ、僕らの前にいた男性は提示を求められているようだった。男性はモンベルを着ていたので多分日本人だと思うのだが、僕らと彼で何が違うのだろう。いずれにせよ用意はしていた方が良さそうだ。

 

出国ゲートを抜けると迎えの人でごった返している。名前やホテルの名称を書いたカードを持っている人は定番だが、なぜか花を持っている人も多い。生花の人もいれば造花の人も多い。何の文化だろうか。

「エクスチェンジ!ニーハオコンニチハ!」という威勢の良い声に導かれ、両替所で4万円を渡すと672万ドンという天文学的数字の現金が戻ってきた。

過去にすごいインフレでもあったのだろう。1200円が100園という西武園ゆうえんちの西武園通貨も意味がわからなかったが、ベトナムドンにもそれと同じくらい頭を悩ませられた。現地では下3桁の000を省略してKと書かれていることも多い。30,000ドンは30Kといった具合だ。この場合現地の人はサーティサウザンドということもあれば、単にサーティということもあるので要注意。まあこれはベトナムあるある初級だろう。

ちなみに最も営業が激しかったのはここの両替所だったかもしれない。基本的にベトナムのお店のスタッフは控えめな印象だった。

 

両替を済ませた我々は再度、送迎の人だかりに目を向ける。この中から僕の名前を見つけないといけない。妻と手分けして2往復ほどしてやっと見つけた男性は笑顔で迎えてくれた。英語は話せないようだが、彼の運転は非常に丁寧で快適に移動する事ができた。

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2時間ほどの移動で到着したのはニンビンのタムコックだ。

今日はここのホテルに宿泊し、明日の午前中にタムコックを観光した後に、カットバ島へ移動する予定だ。

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ホテルに荷物を置いて街に繰り出すと、たくさんの飲食店が立ち並んでいる。

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結局2軒の店をハシゴして、フォーや春巻などをビールと共に堪能した。

ベトナムではビアハノイサイゴン、タイガー、ビアホイなど色んなビールを飲んだが、個人的にはこの日飲んだNaDaビールが最も美味しく感じた。

メニューにはローカルビールと書かれており、残念ながら今回はこのタムコックでしか見かけなかった。

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↑ラベルにはビアテクノロジーオブデンマークキングダムと書かれている。デンマークのテクノロジーが使われているのだろうか。

 

食事を終えて適当に街をぶらついてホテルに戻る。知らない街、知らない飯、知らない文字。何をやったわけでもないが、すでに充実感で満たされてきた。海外旅行は良い。明日も早い、good night.

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↑ホテルの部屋にあった置物。日光土産?

 

2023/12/29

ホテルの朝食はバイキングだった。想定以上の豪華さでフォーも食べられる。

ただゆっくりもしていられない。今日は昼から移動しないといけないのだ。

早めにチェックアウトを済ませて、タムコックのボート乗り場へ歩いて向かう。大きな荷物は昼まで預かってくれた。

今回のベトナム旅行は本当に宿に恵まれた。清潔な施設と美味しい朝食はもちろんだが、なんといっても親切なスタッフに心を打たれた。これだけでベトナムが良い国のように思われた。僕も外国人と接する時は日本の代表として対応する気持ちを持とうと改めて思う。

 

タムコックといえばボートツアーなのだそうだ。奇岩と水田の間を縫うように走る川をボートで往復するのだが、現在はオフシーズン。8時半頃にチケット売り場に向かったが、観光客は誰もおらず閑散としていた。

漕ぎ手の女性は巧みに足を使ってボートを漕ぐ。何度見てもどうなっているのかよくわからない。手品のようだ。

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↑シーズン中、両岸は美しい水田になっているらしい。

 

ベトナムにチップの文化はあまり無いらしいが、今回の漕ぎ手の女性にはチップをお渡しした。要求されたのもあるが、1時間半もひたすらボートを漕いでくれたのだ。感謝を何かしらの形にしなければ気が済まない。

ちなみにこんな体力勝負の仕事にも関わらず、漕ぎ手のほとんどが女性のようだった。

 

ボートツアーが終わり、再度チケット売り場へ向かう。チケット購入時に、よくわからない英語でいろんな説明を受けていたのだが、終わったら戻ってくるように言われていたような気がしていたのだ。

チケット売り場へ戻ると、バス停のようなところに誘導されて待っておくようにとのこと。しばらくすると、電気で走る小型バスが滑るようにやってきた。ちなみに今回ベトナムではこのタイプのバスをよく見かけた。現地の人はエレキカーとか呼んでたと思う。どうやらシャトルバスか何かのようだ。

よくわからないままエレキカーに乗り込むと、音もなく走り出す。どこに連れて行かれるのだろう…よくわからない車に乗るという、海外でもってもやってはいけない行為の一つを流れるようにやってしまった。10分ほど走ると寺院に到着した。

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この寺院、ビクドン?という名前の寺院で、普通に観光地のようだ。石灰岩の洞窟の中に建物が建てられており面白い。歩いているとおばあちゃんが線香のようなものを売ってきたので、おばあちゃんっ子の妻が購入した。まあ、寺院なので線香くらい使うのかもしれない。しかしこの線香、供えるような場所はあったのだが、どこにも火がなく、ライターも持っていないので、それっぽい場所に置いてきてしまっただけになってしまった。

帰りも同じようにエレキカーに乗ると同じ場所に帰って来れた。

適当なレストランに入って昼ごはんを食べると、もうそろそろいい時間だ。そう、今回の不安要素の一つ、カットバ島への移動である。事前にネットで、ホテルまで迎えにきてもらってバスでカットバ島へ移動できるサービスがあったので適当に予約しておいたのだ。

とりあえずホテルに戻ってみて、フロントのスタッフにその旨を伝えると、屋上で待ってても良いよと言う。屋上だと迎えがきてもわからんかもしれないので、とりあえずロビーで待たせてもらう。が、時間になっても来ない。ちょっとの遅れなら海外だし普通にあるだろうが、30分待ってもこない。これはちょっとやばいかもと思い、予約した旅行会社へ向かってみることにする。実はホテルから歩いて5分ほどだったのだ。

オフィスについて事情を話すと、遅れてるからあと10分待ってくれとのこと。なるほど、とりあえず予約は通っているようだ。

安心してホテルに戻ると程なくして、一台の車が明らかに慌てた様子で、ホテルの前に止まった。「カトバ!」。運転手はそれだけ叫んで、僕らの名前も何も確認せずに荷物を持っていく。まあ合ってるのだろうと思い、とりあえず乗り込む。車はものの5分ほど走って大きな観光バスの前で停車した。これに乗り換えろということなのだろう。よくわからないが、バスの中を覗き込み、運転手に「カットバ?」と聞くとイエスとのこと。乗客は多くはなく、主に欧米人だった。

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僕らが乗り込むと、バスはすぐに走り出す。その後少しだけ走って1人のベトナム人の乗客(スタッフ?)を乗せたら、ガイドの説明が始まった。正直内容はよくわからないがとりあえずカットバ島にはいけそうだ。

途中休憩を挟みながら、バスは北東へ走り続ける。最初は元気だった隣の欧米人家族のお嬢ちゃんもさすがに寝てしまった。

あたりが薄暗くなってくる頃、海沿いの小さな港のようなところでバスが停まった。Googleマップを見るとハイフォンの東、Cat Haiという島の東端にいるようだが船の姿は見えない。正面に見える陸地はカットバ島だろう。意外に近い。

ここで船に乗り換えるのかと思っていると、正面から船が近づいてきているのに気がつき、その光景に目を疑った。

とてもバスが乗るとは思えない(ように見えた)小さなフェリーに観光バスが乗っているではないか。

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いやいや。桟橋無いじゃん、どうするのこれ?と思いながら作業を見ていると。上の写真下の方に写っているスロープ状のところにギリギリまで船を近づけて、バスや車を降ろしている。

車が降りてしまったら、今度は我々のバスが乗る番だ。スロープを降り、フェリーからせり出した板に乗ろうとするが、結構隙間が空いている。どうするのかと思いながら見ていると、車輪沿いに細い板を置き始めた。え?まじで?このバスがあの上渡るの?下手すりゃ横転&ドボンでは?と思いながらも信じるしか無い。

しかしここはさすがに職人技。見事にバスはフェリーに乗り込むことができた。

フェリーが出港する頃にはもうすっかり暗くなってしまっていた。

30分ほどで無事カットバ島へ上陸。ここから乗客たちのホテルまでそれぞれ送ってくれるようだ。一組、また一組と乗客が降りていく。

もうすぐ我々のホテルだと思ったところでバスが停まり、全員降りてくれとのこと。

あとちょっと坂を登れば我々のホテルの前まで行けるのに、なぜここなのかよくわからないが、とりあえず従うしかない。そういえばさっき宿泊先を聞かれた際、僕らの泊まるホテル名を何度伝えても理解してもらえなかった。Googleマップを見せても、新しいホテルだからか認識されていない様子だった。

まあ、仕方ない。今日最後の頑張りだ。ザックはずっしりと重く、目の前はなかなかの急坂。しかもいつのまにか生温い雨まで降り始めている。しかし、異国の聞いたこともなかった島の市街地を歩いているという事実が、なんとも面白い。

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程よい高揚感を感じながら、僕らは坂を登り始めたのだった。

 

続く