憧れの海ノ溝を訪れた。
撮影:wakiさん
海ノ溝と言えば、東海地方の沢ヤならば誰もが知るゴルジュだろう。
海無し県に海の溝。この撞着語法的な名称にもシビれさせられる。
wakiさんやTBさんと以前から狙っていたものの、天気が悪かったりタイミングが悪かったりしてなかなか実現しなかったが、今回渾身のメンバーで挑む事とあいなった。
メンバー:ryoさん、wakiさん、TBさん、僕(チーム男澤)
ちなみにこの日は、数日前から天気予報が晴れだったり雨だったりと、変幻自在の二十面相状態だったが、結局雨に転んでしまった。
7時過ぎにトンネル先の駐車スペースに集合。
まだ降り始めてはいないが、どうだろうか。
出合の橋から海ノ溝を覗く。水量は大丈夫そうだ。
撮影:wakiさん
それならば撤退しやすいように出合にロープをフィックスしておこうという話になり、ryoさんにロープを車に取りに戻ってもらっている間に、早くも雨が降り始めた。
ああ、こりゃダメだなと思ったものの、チーム男澤の情熱の炎はこの程度の雨では消されなかった。
とりあえず行ってみようということで、フィックスしたロープで懸垂して川底に降り立つ。
水温は意外と冷たくない。これは吉兆だ。
ちなみに、僕はこんなモビィディックに挑むにもかかわらずカメラを忘れるという大失態を犯してしまったので、写真は借り物である。
川底に降り立つといきなり第一の核心F2だ。
撮影:wakiさん
セオリー通りなら、右岸をヘツリ気味に泳いで滝身の左側から抜けるのだろうが、トップのryoさんは泳いで滝の真ん中を正面突破した。あの勢いの滝から這い上がる姿には感銘を受けた。凄いフィジカルだ。
F2を抜け、適当に泳いだりへつったりしていると、あっという間に第二の核心の滝である。
「雨が強くなる前に、増水する前に」という気持ちが我々の足取りを急がせたようだ。
ここもジャン勝ちのryoさんがリードで滝の右側をフリーで登り、落ち口をトラバース。
危なげないクライミングだった。
ryoさん華麗な突破 撮影:wakiさん
僕はのっけから取り付きで激しい水勢に跳ね返されて意気消沈。身体が冷える前にと思い、早々と人工登攀に切り替えた。
これは正直空荷でもキツイだろう。
落ち着いて探せば、滝の中にホールドがあるらしいが…
必死のワタシ 撮影:ryoさん
さて、これを抜けて少し進むと、すぐに最大の核心CS3m滝である。
滝と言っても水は上から下に落ちているわけではなく、妖しく光るチョックストーンの下からゴポゴポと溢れるように流れてきている。
正直、ここまであまりに調子が良かった我々はそこまで威圧感を感じなかった。
「なんか普通にイケそう」
そんな言葉が漏れる。
しかし、結局ここで3時間の死闘を繰り広げる事になることを我々はまだ知らない。
まずはジャン勝ちのTBさんが突入。
しかし、激しい流れに押し戻されてしまった。
次にryoさん、さらに僕と波状攻撃を与えるも、壁にすら到達できずに押し戻されてしまう。
次に試したのがハンマー投げ。
wakiさんとryoさんが何度も投げ、ついにryoさんがチョックストーン上部の流木に引っ掛けた。これまた感動。
ryoさん渾身のハンマー投げ 撮影:TBさん
次はこれを手がかりに、何度も流れに挑むが、やはり壁に触ることもできない。
我々の泳力レベルが低いのか…?いやいや、今日は特別強いのだろう。そう思いたい。
さらにwakiさんが、引っ掛けたフローティングロープを頼りに自己脱出の要領で突破を試みるも、ロープが細くて苦戦。それでもなんとか流木に手がかかったが、そこでロープが少し抜けて振り出しへ。
この後ロープが抜ける。惜しかった…
撮影:TBさん
最後に再度泳ぎでの突破を試みるも、やはり無理。
いくら水が冷たく無いとはいえ、薄暗いゴルジュ遊泳はそろそろ限界。
結局左岸から巻いた。この巻きもまあまあ悪い。巻く途中で、wakiさんが引っ掛けたフローティングロープとハンマーを懸垂で回収した。
ちなみに海ノ溝の木々は非常に脆い。土の支持力も弱く、巻きには神経を使う。
さらに僕の天敵、山蛭も若干生息している。
CS滝を抜けると、あとは平和である。
適当なところまで進んで左岸側の登りやすそうなところから、林道へ上がる。
林道をアブにたかられながら降った。
一つ課題が片付いたが、機会があればCS滝を攻略しに行きたいところだ。
ちなみに今回、カメラだけでなく、軍手も忘れるという大不手際も犯してしまったので、ryoさんにゴムコーティングされた作業手袋を譲っていただいたのだが、結構良かった。
これまで純綿軍手信奉者だったが、色々試してみたいと思った。