続 イボGの山

何者にも成れずただ登るのみ

板取川西ヶ洞 20200606-07

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一泊二日、どっぷり自然に浸かれる長大な沢登りの末にたどり着くのは、現代文明の象徴、巨大なアーチ式ダム。

 

そんな不思議な沢がある。板取川の西ヶ洞だ。

 

序盤の大釜付近までは、盛夏の沢遊びルートとして多くの遡行者を迎えているが、そこから先をダムまで遡行した記録はネット上には少ない。

 

大味な印象のある沢かと思ったが、歩いてみると泳ぎ要素が多く、なかなか楽しめる沢だった。

ただ、ダムを抜けた後の下山に難がありすぎる。ここは奥美濃。これだけは覚悟していくしかない。

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↑遡行図

 

 

一日目

8:15出発

新深山トンネルを抜けたあたりに駐車し、そこから脇道を戻ると、禁漁区看板と階段があるのでそこから川浦谷本流に降りる。最後は固定ロープを使って川底へ。

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本流を少し降ると、西ヶ洞出合。

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西ヶ洞に入るとすぐにゴルジュとなり、泳がされる。

西ヶ洞はこういったミニゴルジュが何度も現れる。

 

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中電のトンネルを過ぎてしばらく歩くと、またゴルジュ。

泳いで右から突破。

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そして大釜

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ここは素晴らしい。うまく写真が撮れないのが残念。

真夏なら泳ぐだろうが、今回は寒いのでやめとく。

 

大釜の先はすぐ左から滝が落ちる二俣となり、右へ。

 

その先にまたゴルジュ。左から容易に巻けたが、泳いでも突破できそう。

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そこからはしばらくはただの河原歩き。

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↑途中、大山田谷出合を通過(多分大山田谷の写真だと思う…)

 

大山田谷を過ぎると、次第にゴーロ歩きとなる。一歩一歩の動作が大きくなり辛い。

 

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↑ここは左岸を巻いた。下りがやや悪く、補助ロープを出した。

今回の沢の中でロープを出したのはここだけ。

(但し下山でもう一回出した)

 

さらにゴーロ歩きを続けると、核心のゴルジュへ。他のネット上の記録では関門ノ滝という名前とされている。

結構疲れてきている上に体も冷えてきたところでダメ押しの泳ぎと登攀を強いられる。

(但しTBさんは全く寒くなさそう)

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TBさんがトップで泳ぎ、左壁を登って突破。さすが切り込み隊長だ。

ガバホールドが多いので落ち着けば難しくはない。

 

 

そこを過ぎてしばらく進んだ河原で幕営とした。イタゴ洞の出合が分からなかった。

16:00行動終了。

 

 

二日目

6:35出発。

少しゴーロを歩くと、標高790m付近の二俣へ。ここは左へ。

ここはすごいところで大岩が迫り出した巨大なプールの奥に斜瀑が落ちている。

左壁にロープがあるが、泳いで突破できる。

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もう何もないだろうと思ったら3段10mが現れる。

これは登れなさそうなので、左岸側をまあまあの高巻き。

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その後に現れる8mを右岸から小さく巻いて、少し進むと、何やら機械が出てくる。水位計か?

その後すぐに、巨大な川浦ダムがドーンと現れる。

 

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↑さすがの迫力に圧倒される。

 

 

ダムは右岸側に階段があるとの情報があったのだが、見つけられず、仕方なくダムの真横(左岸側)の梯子を登った。多分本当はダメなんだろう。自己責任で。

ちなみに右岸側にも梯子があるが、上部が途切れているので注意。

 

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ここからはひたすらドウの天井に向かって車道歩き。地図さえ見ればわかるので詳細は割愛。

ドウの天井は林道から五分で登れる。ここで一人登山者を見かけた。

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この不思議な山名は、学者の今西錦司氏が名付けたらしい。

多くの「洞」(この辺りの沢はよく「洞」の名前が付けられている。)の水源となっているからだという。(洞の天井→ドウの天井)

 

実際、ドウの天井の山頂はなんて事ない所だが、ドウの天井から明神山をつなぐ稜線は板取川と根尾川、つまり長良川揖斐川に分かれる尾根である。

ここで別れた水は遠く離れた長島の河口で再び出会う。そう思うとロマンを感じるではないか。

 

 

さて、こんな所で感傷に浸っている場合ではない。ここからも大変なのだ。

 

 

車道に戻ってさらに先に進むと、突然車道が終了する。

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ここは大ツゲ谷の左岸側の尾根上なので、あとはこの尾根をひたすら下降する。

藪レベルはそれなり。多少は踏み跡がある。ただし、シーズンが進めばもっとひどくなるだろう。

それでも久しぶりの藪漕ぎはかなりこたえる。

TBさんはここでカメラを落とすという悲劇に見舞われた。

2時間ほど藪と格闘すると、擁壁の上に出た。

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↑最後の最後に初めてハーネスを使用し、懸垂で降りる。

 

ダム上から林道2時間、藪漕ぎ2時間、さらに林道30分、休憩入れて5時間以上かかった。

15:00駐車地着。

お疲れ様でした。梅雨前最後の山行でしょうか。

 

メンバー:TBさん、僕